恋愛死/狩心
くない人間なんですよ 君に会えてよかった
歩道橋の上
爽やかにきらめく朝日を浴びて二人だ
歩道橋の下
忙しなく踏み切りを渡る大勢の人間だ
気付かれないようにキスをしよう
誰にも気付かれないように死んじゃえばいいんだ二人で細胞分裂して三人だ
電車が来たよ 君を守りたい
なぜそう思うの? 運命だからだ
手を繋ぐのはいつも僕の方からだった
でも今日は君の方からそっと繋いできた それが夕陽さ
皮膚の地平線から見えた夜 君の夜を全部食べてしまいたい俺は 過食症だから
ばりばりむしゃむしゃどうだい? 何かリズムが聞こえてきたよ
俺が真空を噛み砕く音は 君の声にそっくりだ
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