なだれ/川口 掌
 


山の声を聴きながら
川の流れに身を委ねると海は優しく包み込む
空を呼ぶ光の彼方
月は透過し星の涙が降り注ぐ
諦めにも似た感情は囁く気配の中
何処までも深く淀んでいつの間に忘れ去られる

悲しみは
忘れられる事に在るのでは無く
自身の心の内より湧き出てくる
幾度と無く
読み返し計算し直しても変わらない明日
天井の破れ目からふつふつと
零れる木漏れ日にそんな明日が流れ出さぬよう
祈り続ける


好きだよ 満たしていく
空っぽの心を 君の言葉が
でも間に合わない
次第に 確実に
少しずつ 少しずつ
僕の意識が
君の居るその場所から
遠ざかっていく

足元から流されて

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