湖にロボット/ふるる
 

少女のやわらかな外皮

(彼女の泡だった手のひらから)
(祝福しきれないものが生まれ続ける)

湖は少女を飲み込んだので
午後の食事はもういらない
と言う

それからほどなくして
「ヒト型ロボット取扱説明書」が
楽譜のように浮かび

「絶対に水につけないで下さい」

印刷の文字は
水面に空にほどけ

湖にロボット

あおいくろい水底に
水草は茂り白い花も咲く
魚は巡り命のやりとりが始まる
少女の身体は沈み続け

そんなうつくしいこと
そんなかわいそうなこと

誰も知らない




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