湖にロボット/ふるる
 
静かな水面を犯す
色あせた小船
風に運ばれ
流れ

中ほどで止まり
つっと少女が生え

東雲の空を仰ぎ
湖に
か細い背を預け
ざばん


透明なほのお飛び散り
幾多の波紋生まれ
うたう

軽くなり小船は
踊りたそうに見えたが

うたはかき消え
水面はまた
蜜をかけた葛のように横たわった

一振りの剣
光が差し込んだばかりの夜明け
するどい切っ先は草をなぞり
なぞられて見える
はっきりと緑の
緑の、緑の、みどりの
とろりとした岸辺

岸辺にふちどられた湖は
明るくなる
雲、空、を食べていく

白い服ゆらめく尾びれ
沈む

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