雪/
城之崎二手次郎
ホワイトアウト。別に、遭難した仲間を探しに来たわけではない。美那子と初めての外泊に新潟のホテルを選んだ。深夜の露天風呂に浸かる彼女を覗いてやろうと、タオル一枚腰に巻いて岩場を乗り越えた。あとひとつ岩をのぼれば美那子の裸が拝めるというときに吹雪いてきたのだ。進むことも退くこともできない。体の震えが止まらなくなってきた。美奈子の名を叫んだ。担架で運ばれる俺を見る彼女の目は、吹雪よりも冷たかった。
あとがき。
二〇〇字物語第十五段。
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