空の破片/時雨
ある人はそれを「雨」だと言った。
またある人はそれを「雪」だといったし、
偉い学者は「塵の一種」だと力説した。
ある日細かいものが降ってきた。
パラパラと人が気づくかどうか分からないくらい微妙に。
ある日細かいものが降ってきた。
それは、時々思い出したように、
僕たちに忠告するように、
ゆったり、ゆったり、振り続けるのだ。
それはほんとに細かすぎて、
研究者は頭をひねって、
顕微鏡を覗き込む。
答えは出なかった。
これから何十年、何百年、
もしかしたら、何千年
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)