靴/アンテ
やっぱり消えていなかったんだ
足は止めない
大通り
歩道橋
で足がもつれる
心臓がもうダメだって言う
ガードレール
街路樹
足がつる
腕が動かない
喉が
転んだ
とわかった時には
視界が激しく飛んでいた
胸が膨張して
酸素を吸い込む
痛いところが多すぎて
身体の輪郭が
もう
わからない
球体が転がり回っている
目を閉じて
暗やみのなか
さよなら
だれかが言う
さよなら
あたしが言う
胸がすこしずつ落ち着きを取りもどす
目を開ける
涙でにじんだ光が
形を思い出す
輪郭が体を取りもどす
白い大きな建物
が見える
病院
と書いてある
連詩 観覧車
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