きらくのはじまり/小原あき
 

見知らぬ誰かに
こいつの花を贈ろう、と
「優しさ」を見つけた
と思ったけれど
偽物に姿を変えたので
「落胆」を飲み込んでしまった
吐き出そうにも上手くいかないので
「悲しみ」が背中に乗ってきた
体を屈めるしかなくなった
なるべく丸くなっていると
胎児に戻ったみたいに
「眠気」が周りに漂っていた
目が覚めると
一通りの思いが抜け出した、ような
「気楽」を抱き締めた







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