風塵/石川和広
 

知ることのない

あなた、かなたであり
知らないうちに
ポカンと
切り抜かれたあなたが

街頭をどんどん光らせていくようで
寒くなっていく

けっこうそれは近いのだ
もし呪いだとしたら
あまりにも空白であり
ところで私は充たされているのだ
それが根源的な罪であり
そして街頭はまぶしい

見ることができる
この世界にあらわれる全てのもの
霧になり夜風になり
私は歩いた
ここにいて、歩いた
見つけて見つけて

ひきとめることのできない
遅さの中で
ひとつひとつの光が
どうしても星になれず
それが喜びのように
満ち足りたように
あなたを感じることができた
という
ささらさら
あまりにも
無闇で
どこまでも光で
静かに
それは息苦しかった

大きく息を吐いた
木々がざわめいた
いつまでも無からさらに無へ移行して
風が波になり光が風になり波がおりかえして
ゆるやかな人影をつくり
また会うことができるように
大きく微笑んでいた



戻る   Point(8)