マニ/ねなぎ
 
波間に夢を見る

ふと揺られていた

気がつくと電車などに乗ってしまっていて
しかも田舎の単線の三両編制で
左手には木々が広がり
進行方向右の窓のそばで
ぼんやりと外を見てると
すぐ下の岸壁にぶつかり
泡を巻いて跳ね
飛沫が飛び散るように白く
誰もいない昼間の座席に持たれ
軋むような
泣くような音と揺れを
感じていた

世界は波で構成されている

ふとそこにいた

気がつくと何故か無人の
駅で降りてしまって
申し訳程度の鉄と木の中間くらいの屋根と
打ちっ放しの線の内側で立っていて
木の箱と柵だけの改札を抜けると
眠るような町並みと
古ぼけた道が
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