蹈鞴川/るか
 





海を呼ぶ人よ
そんなにかなしい
口笛をやめよ。
おまえが帰る背に
遣りきれぬ靴の
重量があり
踏みしだかれた苦汁が
世界という叫びを
郷愁へ 
突き落すから。

妹よ われら、
時代の絶景をくぐり
今日、
深く犯されたおまえの傍らで
忘れられた詩行を 
        何遍も何遍も
              囁くだろう、















雪は海に降る
雪は海に降る、





(穏やかな沈黙の椅子に、
しろかねの涙、ながれ
そこに私はいない、
ある 麗らかな
日没の
風景である、)










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