七人の話 その4/hon
 

「くれるの?」
「うん。本当は、ヤスリがけしたほうが、きれいに仕上がるんだけど、こうして荒い彫り目を残しておくのも、手作り感があっていいかもしれない」
「でも、これ、小さい子にあげるんじゃなかったの?」
「まあ、そのつもりだったけど、あいつらはワシとかタカとか、猛禽類のほうが好みのようだからね。また別に作ることにするさ」
「そうなの。じゃあ、もらう。ありがとう」
「ああ」
 充は参考のために見ていた鳥類図鑑を閉じて、机の上の木くずをかたづけ始めた。


「ねえ、一ヶ月前にもこんなふうに私にくれたよね」
 鴨の彫刻を机に置くと、小遥はいった。
「バラの花を。もちろん、生まれ
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