There Is A Light That Never Goes Out/岡部淳太郎
 
 はじめに光がある。
 闇の中にある光。闇の中だからこそ存在感を放つ光。だが、周囲がすべて闇であることは間違いがなく、だからこそそこにいて生きることはつらく苦しい。それでも、光はある。ただひとつの光を頼りに歩く。足下を見つめる。地表にはおまえの落とした息が死んだような顔でいくつも横たわっていて、おまえはそれらを踏まないように、死をさらにひどく殺してしまわないように、細心の注意を払って足を動かす。ただ足を動かしている、そのことが前に進むことと同じであるかどうかもわからずに、おまえはただ足を動かし、地を踏みしめつづけている。
 それから光は角度を変えて、おまえの立っている道の先を照らし出す。誰もい
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