ダンボールと新聞紙と/AKiHiCo
 
狭い部屋の真ん中に
敷かれたダンボールの
その上で私は呼吸をしている

腕を伸ばした状態
月灯で照らされた腕は
青白く細くしなやかだった
そこに繋がれた管を
眼で辿ると赤い袋に突き当たる

管を通して体に浸入して拡がるのは
どんな味がする薬だろう
不幸かそれとも幸福か
最期の一滴は至福だと信じていたい

一生に一度しか味わえないのだから

動きの鈍くなった体では
何をするのも億劫で
立つ事も出来やしない
親にも見捨てられてしまった
医師には余命を告知されている
それよりも早く私は終わるだろう

この薬が全て
体内に送り込まれた時が
私の最期となる
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