伏し目/山中 烏流
 

それは既に、私ではないと
知るのはいつだっただろうか
 
私から溢れたものが
何一つ私ではないことを
知ったのは、
いつだっただろうか
 
 
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指折り数えた日々の
その、全てに息づいたものを
知らないでいるように
 
私はまだ
幼さを盾にしている
 
目を、背けている
 
 
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呼び声に応えた背中が
少しだけ、広くなることを
私はいつか
知らなくてはならない
 
地に触れたあと
溶けるであろう、それが
幼さであることは
随分と昔から
知っていたのだが
 
 
今、また
膜が疼いている
 
 
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その呟きに
誰かが気付いたとき
 
私はそうして
私、に
成りえるのだろうか。
 
 
 
 
 
 

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