めがね/柚木
 
窓から光が差し込んで、仕方がないから目を開けた。
どちらかっていうと布団に潜り込んでしまいたかったのだけれど、なんだか今日の太陽は気合が入りすぎているらしく、とてもじゃないけれど目なんかつぶっていられない。
とりあえず、左手で眼鏡を探しながら起き上がろうとする。
けれど、ない、のだ。めがねが、ない、のだ。
確かに寝る前にはサイドテーブルの上にそいつはいたはずだし、いや、そこに置いたはずだ。
なのに、ない、のだ。
ないものはないわけで、途方にくれてみる。
にしたって、ずっと途方にくれているわけにもいかないわけで、のそっとベッドから起き上がることにした。
それがまた、不思議な光景だった
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