雪肌精/斉木のりと
 
った。

彼女には申し訳ない気持ちになる。急に自分が貧乏人であると思い、卑屈になった。

そして、そんな自分が嫌だと思う。私はいつも私を観察していて批評を加えて言う。

「これじゃダメだ。もっと成長しなよ」

この批評家の私はどれだけ偉いのか?理想とする自分になるにはあまりにも難しい。

偉人賢人を仰いでもダメ。それを越えるのか?

自分が自分に課す目標はまるで神にでもなれって言わんばかりだ。

そんな重圧に耐えて生活している。私はMなのだ。

会社に帰るころには、空に月が出ていた。
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