十二月の手紙 デッサン/前田ふむふむ
ひかりの葬列のような夕暮れに沈む、
クラチャニツァ修道院のベンチに凭れる、
白いスカーフの女の胸が艶めかしく見えた。
捲り上げられた白い腿は、悲しげにも見えた。
わたしの少し疲れた掌のなかから、
厚化粧の旗に見つめられて、バザーが眼を覚ましている。
黒い衣装に覆われて、寂しい息の群が、
地を這っている喧噪のなかを、
針のような無言が、からっぽになっている、
わたしの胸を埋めている。
聖地ブリシュティナのなまり色の空に、
吊るされた透明な鐘は、血の相続のために鳴り響き、
ムスリムの河の水面に溶けている。
もうすぐ雪が訪れて、
大地の枯れた草に泣きはらした街は、鐘の
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