森林の中で/たけ いたけ
 
スクロールする
枝葉で腕や脚に傷がつく
それでもどんどん追っていく
先に何がある
何かあるのか?
そういうものは最早
思考の届かない遠い昔のこと

幼い時
勢いを付けすぎて
引っ込みのつかなくなったブランコ
飛ぶと決めたからには飛んで見せた
飛んだ瞬間の冷や汗
落下した時の観念
着地した衝撃の血の滲む痛み
あの時のままだ


大空では
大きな揺りかごから大量の人々が
振り落とされる
哀れな姿で落下していく無慈悲な選別
混乱した人類には観念しか残っていなかった



出た


突き抜けた




あの坂を




目の前には光が眩しいほど広がっていた





そこには水草が揺れ

小鳥が集まり

木の葉の腕が撫でる

光と水が唄う池だ




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