森林の中で/たけ いたけ
カッターナイフを握り締めて逃げていた
青々とした森林の中を
踏み外しては転びそうになり
木々の隙間を無理やり避けながら
射し込む太陽の光線が目を刺す時々
疲労を自覚した
休みなく進むしかない
先に
大砲の発射音
破壊された壁の音
無機質の瓦解
燦々と輝く太陽
満員電車から人々が雪崩れる
改札を乗り越え
突き飛ばしあって
階段では次々と転げ落ちていく
通路脇の大きな画面にはいくつもの作り物の日常が流れる
カッターナイフの先には獲物がいくつも見える
木々の隙間に
小高い坂の上に
輝く太陽の先に
姿のない獲物を追ってどんどん前進する
空が延々とスク
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