姉という生き物/亜樹
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確かに、世間一般にいって、私はできた娘さんですねと称される娘だった。
成績は悪くなかった。10本の指に入る、とまでは行かなくても、上のほうから数えた方が確実に早かった。
家事も積極的に手伝った。両親がそろって出かける夜、夕飯を作るのは私の仕事だった。
弟妹の面倒も、よくみていた方だろう。寝かしつけるために読んでいた絵本は、内容を暗記するまでになった。小学生のとき、怪我をして入院することになった私は、母に言った。ゆうきとしずかはまだ小さいのだから、おかあさんは帰って、と。その夜私は古びた病室で、一人声を殺して泣いた。
そうして、世間一般にいって、姉は親不孝な娘
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