とおい時代/九谷夏紀
 


 それは5年間に起きた出来事
 たとえば私にとっての27才からの5年間は
 少し人生を棒に振るような生き方をした
 驚くような世界をいくつか知って
 感情に呑まれて行方がわからなくなっても
 渦の中から息継ぎをしながら
 ただ生きるために生きて 自分を守るためだけに生きた

 君にとってのその5年間というのは
 短すぎやしなかったかい
 勝負するには遅すぎたはじまり
 生きるために生きることを拒んで
 どうしてわざわざはじめっちまったんだい
 よっぽど腐っていたのか
 死にかけていたのか
 よく仲間が集まったもんだよ
 いきさつはいろいろ伝わっているけど
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