処女雪/森さかな
 
 
 
 
 
二人の住む街は
汚れた雪しか降らないから
きみはそれしか
知らないでいる
 
街灯の光は
ぼくたちの知らない間に
静かに青白くなっていって
だからこんなにさびしいんだ
 
 
 
 
 
冬は怖い
冬は怖いよ
 
ぜんぶぜんぶ
眠りにつくんだ
 
 
きみは冷えてしまった
 
こころだって捨てたがる
指先だって捨てたがるから
 
 
ぼくは
 
ひとみを閉じてやりすごした
終わりがくると信じてた
 
 
 
 
 
灰色の道端で
きみが
消えたいとつぶやいたら
白い息になって
 
それをぼくは
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