Jazz and Blues/恋月 ぴの
に溺れてしまったら何も見えなくなる
わたしのこころを見透かしたように
時計の進み具合なんか気にしてみせたりして
それでも、わたし溺れてみたい
節くれた親指の確かさだけでは満たされ得ずに
涙が出るほどに息の詰まりそうな
自制心などかなぐり捨てたくなるような
唾液に濡れた親指を舌先でなぞり
付け根を彩る口紅は縁飾りのようで
ブラッド・スエットアンドティアーズ
血と汗と涙
自立した作品になるってことは
そんなものとは切り離されて
デートの添え物になることさえ拒まずに
トイレにでも行ってくるね
西日のあたる窓際の席を立つとき
あのひとの視線をお尻あたりに感じ取り
勝負なんとか穿いてきたっけ
だなんて
スカートの腰のあたりを軽く押さえて
戻る 編 削 Point(21)