白い空/松本 涼
線路を跨(また)ぐ歩道橋を渡って
小さな小学校脇の道を歩く
冷たい風に靡(なび)く木々の葉は
ほんの数日前とはまた更に
色も重さも変えたようだ
見上げれば焦げ茶色の葉の
所々に開いた穴の向こうに
まるで息を止めたような
真っ白な空がある
その白さは私を見つめ
私はぽとりと歩みを止める
けれど見つめ返したそこには
何も無い
見つめる私の姿が
映っているだけだ
私は瞼を伏せ
またひとり歩き始める
角を曲がり大通りへ出ると
待ち伏せていた冬が
遅かったね
とでも言うように
そっと私の手をとった
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