やさしいおもいで/hope
 


酷い夢で目が覚めた朝。

背中を丸めて身構える。
押し寄せる思い出は、溢れた雫が乾くまでのあいだだけ。
遥かに遠い雲からの便りは、私にはまぶしすぎるの。
それでも溢れ出すの。
どんなにこらえても、感じきれないまま。
そんなの全部、わかっているんだけど。

あなたの声が聞こえる。
偏ってしまった、思い出、の、谷間から。


(ねえ)


もう一度だけ、声を聞かせて。




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