間接キス/草野春心
 


  そのとき
  曇りガラスの窓を破って
  世界じゅうの扉を開いて
  誰も見たことのない花が咲く
  新しい雑踏が生まれる



  想像のほとりで
  知らないうちに 僕
  君を何度も殺してた
  春のはじめの暖かい日
  見えない雨も降ってた日
  君を殺してた



  赤いランドセルの背に
  白いスプレーで落書きを
  他愛ない世迷言を



  (僕の夢はいつか女子トイレに入ることだった)

  (本当は君の事をそれ以上知りたくはなかった)



  ふれあうよりも多くを
  多くを持ち寄った
  間接キスさえ恥ずかしかった


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