膝の細い鹿/森さかな
 
 
 
 
刺さった葉をやわらかく落下させて
空気を入れ換える季節よ
 
あれは子供たちが最初に見つけた
 
地球の旋律なのだ
 
 
 
よーいどん
 
で駈けだした足が
どこまででも行けたのなら
いいのに
 
 
 
私は
窓際の憂うつ
 
幼い宝箱をひっくり返しては
 
 
喪った輝きを
悲しく思っている
不安定な尺度を握りしめて
 
 
 
 
また、遠くで円を描く世界を
木枯らしが過ぎ去って、
 
 
 
 過ぎ去った
 
 
 
 

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