ノート(白歌)/木立 悟
小さな手
小さな目
欠けた空を映す鏡に
歌のかけらを置いてゆく
重なりつづけ
重なりつづけ
どこにもつながることのない
造られた花のような子供たち
たじろぐ腕をとり
歌の輪に誘い
届かぬいのりを放つわたしを
届かぬいのりのひとつずつを
届かぬままに赦してくれた
あの子らの行方が火に包まれるなら
わたしはもう何も何もかも信じない
くちびると手のひらと空を結んだ
高く大きな三角に
水の花はやってきて
どんなに小さくちぎれても
新しい輪をひらきつづける
途切れることなく踊る歌
とどまることなく踊る花
白い子らの足跡のように
砂の上をすぎてゆく
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