自作小説冒頭、つまり失敗作のかけら/佐々宝砂
 
ゴキブリ夢ネタです。小説にしようと思ったけどできなかったゴキブリの夢。
なんでこんなものを載せるかというと今ネタに不自由しているからです(笑

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 畳はすっかり腐っていた。だから、踏み込んだぼくの足は、軟らかい畳にぐにゅりと穴を開けた。狼狽して足を引き抜こうとしたがうまくゆかず、ぼくの身体はそのままずぶずぶと畳にめり込んでいった。

 なま温かい、べとべとした、イヤな臭いのする畳――というよりは畳の筋目がある茶色い汚泥状のもの――に首まで浸かって、ぼくは、どうしてこんなことになってしまったのか思い出そうとした。けれどまるで思い出せない。頭の中で無数の蝿がぶんぶん飛び回ってるみ
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