冬薔薇/石瀬琳々
 
心さえも滞(とどこお)る
いつのまにか
何もかも凍てついて
時が止まったかのように
白い霜に閉ざされる朝
私の指さきも
じんと凍えはじめる


指に触れた薔薇の花よ
霜に降りこめられ
彫像のように黙り込む
病んだ葉をまとい
花びらを高々とかかげて
こんな冬空の下で


 あきらめられたらいいのに


うなだれる心
打ちのめされる冷たさに
投げかける花の力強さ
なおも咲こうとするのか
冬薔薇 冬の白い心よ
陽がさせば また
時はゆるやかに動き出す



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