各駅停車で/川口 掌
 

目の前に提示された
条件の中からしか
物事を選択出来ない我々
それでも
その条件下で
生き残り
明日を向かえる事を目指す


夜明け前
海を望む寂れた町の小さな駅から
各駅停車のその車両は出発する
ゆっくりと少しずつ
速度を早めながら
私の
全てとも言える寂れた町から
遠ざかっていく


新聞紙は
その時々の世相を滲ませながら
各駅停車の
時の流れを風に晒され
どことも無く
飛んでいく




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