道/石畑由紀子
君は
よわくて
その選択は正しい
うまく隠れすぎて、呻く
君の声が聞こえたときには遅かったのだね、そして
そうさせたのはたぶん私だ
君は
わがままで
その選択は正しい
魔法のような比喩にも越えられないものがある
それは生身だ
君が波ではなく生身のように
私は風ではなく生身だ
そして
伝えられなかったのは君で
私
よわくて
わがまま
いったい誰にむかって言った
泥の夜にうずくまり
ひかりの朝に背を伸ばして
私は私の混沌をゆく
あの日
意味をもらった
誰が見つけることもないこの場所で
私は手を振る
闘うために
君よ
キュキュッ、と
その肘と腕で力強く
くもりかけたガラスを拭え
そうしてまたクリアになってゆく君が好きだ
君よ
君のなかで行く手をはばむものをなぎ倒し
求める道をゆけ、迷わずに
迷わずにその道をえらんでゆく君が好きだ
そんな君を好きな私が大好きだ
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