「新しい朝」/ソティロ
 

ビルのガラスに
太陽が空ごと白く移っている
うしろにはきみが乗っている
きみの、黒目の、深いところに
やさしさと恐れがある
その反射光で
舗道が、ぼくたちが、青く、青く


途中の公園に植えられた
木の葉っぱの
緑が
前来たときよりも
抜けている
そんなちいさな発見
透明な空気のなかに
融け込んでいる
なにか
そのにおいが秋だった
そしてそのなにかが
どこまでも澄んで
そのひかりをきみと見ている
また、新しい風
ぼくはペダルを踏む
まだ、すこし恐い
だけど、安心している
公園を通り抜けるとき
銀杏のつよい臭いを受けて
ふたりして笑った





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