ホワイ/ホロウ・シカエルボク
 
一瞬でひっくり返ったとしても何かが落ちてくる事なんか無い、俺たちはとっくにリアリズムからは離れているのだ
ふわふわとまぼろしのように―慣れた暮らしを繰り返すただの残像さ
言葉でどうにか出来るなんて勘違いもいいところだよ
ある人が言ったよ、言葉は絶対なんだって
俺が言葉を信じていないだけなんだって、だけど
俺は言葉が世界を変えたところを見たことが無い
言葉が何かを浄化したなんて場面を
生まれてこのかた目にしたことが無い
だから俺は言葉なんてものに力が在るなんて思いはしない
たいていの言葉は真意すらなく
誰かと誰かの足の間に落ちてゆくのみだ
ねえ君、躍起になって振りかざすような信
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