服部剛 その詩と人/岡部淳太郎
 
て切り捨ててしまいたくなるかもしれないが、人生が様々な「余計なもの」が介入することによって彩りを増していくように、あえて猥雑なものを持ちこむことによって詩がそれまでとは違う高みへと引き上げられることもあるだろう。それは他者の視点を獲得することにも似ている。自らが信じているものを人々がみな信じているのではないし、自らが良しと思ったものがある人にとっては邪魔なものになってしまうことも充分ありうることだ。そうした様々な他者の視点を取りこんで想像してみること。それによって、彼が本来目指していたはずの詩の「優しさ」へとよりいっそう近づくことが出来るのではないだろうか。



(二〇〇七年十一月)
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