シュトゥール/青の詩人
 
きやまなかった
悲しみの色が暗く部屋中を塗りつぶした

できたのは
君を支えることだけ
許されたのは
君に居場所を与えることだけ

だけど君に伝えたい
言の葉を持ってはならぬと
神様に言われた僕だけど
君に伝えたい

だから神様
一度だけ
一度だけでいいから
僕に言葉をください


ギシギシギシ ギーッ
(いつか君にふさわしい人が現れるよ)
「・・・・・・ん?」
ギギーッ ギッ ギーッ
(こんな僕よりも こんな部屋よりも)
「あなた・・・、まさか・・・」
ギ―――――――ッ・・・
(もっともっと大きな世界が・・・)
「私に話しかけてるの?」

君を待ってる。

「・・・ありがとう。」

いつしか声は消え
夢が君をさらっていった
最後に感じた君はやはり
とてもあたたかかった

君はそれから二度とこの部屋に戻らない
僕は君以外の誰も座らせることのない
役立たずのシュトゥールとして
今夜もほっそりと君を


君に居場所を与えるため
僕は居場所を与えられた


(「シュトゥール」より)
戻る   Point(0)