最終電車/アヅサ
 
いとしいあのこが電車に乗って
白いまつげをふせながら
やわらかく甘いつめの先
僕の方だけすこしみた


ゆるくむすんだネクタイに
なみだのような白雪が
すこしつもって
ちょうちょのように
溶けたと思えばあなたがわらう


そんな明日よ可憐なあすよ
僕のまぶたにふる光


しずかに凍る指先で
薄青の冬を摘めようか
あなたのコートのうちがわに
たくさんの春がみえたのを
僕はなみだを拭えずに
ただただみているだけだった

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