最終電車/
アヅサ
いとしいあのこが電車に乗って
白いまつげをふせながら
やわらかく甘いつめの先
僕の方だけすこしみた
ゆるくむすんだネクタイに
なみだのような白雪が
すこしつもって
ちょうちょのように
溶けたと思えばあなたがわらう
そんな明日よ可憐なあすよ
僕のまぶたにふる光
しずかに凍る指先で
薄青の冬を摘めようか
あなたのコートのうちがわに
たくさんの春がみえたのを
僕はなみだを拭えずに
ただただみているだけだった
戻る
編
削
Point
(5)