海の彼方、 ☆/atsuchan69
 
 ――起床、起床! 

スチームを切られた鋼鉄の部屋の恐ろしい朝、
一夜の温みをようやく蓄えたアクリル毛布を剥ぎ取られ
既に凍り始めた虫襖(むしあお)色のジャージを脱ぐと
柔い生肌のかよわさが、たちまち鳥肌を立てた

ここは海の彼方、
待ち侘びた夜の終わり。

上下に揺れる、僕を含めた波間の裸たち
船首に聳えては今にも崩れる高波はしぶきを飛ばして、
整列した男女の凛々しい顔と顔をまえに
若い教官の一人が白い布地のホースを重そうに手にし
その時、毛織のコートを纏った年老いた教官の唇で
虚空に向けた、悲鳴にも似た笛の音が鳴った

 ――放水、開始!

やがて真鍮の
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