風船/
虹村 凌
渡して少しだけ微笑んだ
「ねぇ 本当に風船で空は飛べるのかしら?」
足の長いおじさんを眺める僕の視線を遮るように
まっすぐに僕の目を覗き込みながら言った
「さぁ」
僕は少しだけ視線を逸らせて肩をすぼめる
「あなたならきっと
風船で空を飛ばせてくれるわよね」
君は自分の指にくちづけると
その指を僕のくちびるにあてがった
気付くと足の長いおじさんはいなくなっていた
空を飛んだのだろう
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