熱視線/渡 ひろこ
 
確実に浸入してくる
この熱い潮流は何だろう


手のひらですくおうとしても
もう 溶けて 染みて
浸潤してしまった


抵抗してもあらがえない
戸惑いと焦燥感と切なさを
もてあまして
どこに捨てればいいのだろう




暗い部屋の中
蛍光スタンドの灯りたよりに
教科書を開いても
同じ夜空の下
何してると
キミを想う


今夜も
溜め息まじりの
窓越しに
月をも焦がす
熱視線









戻る   Point(9)