熱視線/
渡 ひろこ
確実に浸入してくる
この熱い潮流は何だろう
手のひらですくおうとしても
もう 溶けて 染みて
浸潤してしまった
抵抗してもあらがえない
戸惑いと焦燥感と切なさを
もてあまして
どこに捨てればいいのだろう
暗い部屋の中
蛍光スタンドの灯りたよりに
教科書を開いても
同じ夜空の下
何してると
キミを想う
今夜も
溜め息まじりの
窓越しに
月をも焦がす
熱視線
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