熱視線/渡 ひろこ
教室の窓から3列目
頬杖ついて黒板を見る横顔に
囁きかけて…って思ってしまう
第2ボタンまで開けた白いYシャツ
肘までまくり上げた袖から続く
長い指の爪の先まで見つめてしまう
油断して目が合ってしまったら
ちょっと驚いた感じで
思いがけず軽く笑みを返してくれた
真綿を薄くちぎったような愛 と思えてしまった
そう キミは博愛をまきちらす
ああ…でも
少しばかりの愛では
すぐに乾いてしまう
いつでも潤っていたいのに
悟られないように
溺れないように
心をきつく結んでいたのに
いつの間にかほどけて
ゆっくり確実
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)