熱視線/渡 ひろこ
 
教室の窓から3列目
頬杖ついて黒板を見る横顔に
囁きかけて…って思ってしまう


第2ボタンまで開けた白いYシャツ
肘までまくり上げた袖から続く
長い指の爪の先まで見つめてしまう


油断して目が合ってしまったら
ちょっと驚いた感じで
思いがけず軽く笑みを返してくれた




真綿を薄くちぎったような愛 と思えてしまった




そう キミは博愛をまきちらす
ああ…でも
少しばかりの愛では
すぐに乾いてしまう
いつでも潤っていたいのに


悟られないように
溺れないように
心をきつく結んでいたのに
いつの間にかほどけて
ゆっくり確実
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