不安/佐々木妖精
 
原付の女性は頭から浅い砂利のプールに落ち
彼女は救急車で運ばれ視界から消えた
目撃したのはたったそれきり



知らない十字路で同世代の会社員が跳ねられ
乗用車が反対車線のトラックに突っ込んだ
今この瞬間ニュースにも取り沙汰されない事故が
人が
道が
あり

きみの知らない場所それは無数にあって
きみはそのにおいを感じたら
まばたきをしてはならない

俺はこの角を曲がれない



有機溶剤を脳に溜め込んだ彼はフロントガラスの上で
風船が破裂するようにトルエンを吐き出した
知っているのはたったそれだけのこと



今日もしかして
その歩道にライ
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