「 コワレ。 」/PULL.
 
その一言が、どうしても聞きたい、眠れ、ない。

 また、さらにながいときが、いくつも過ぎた。ひ孫たちはもう随分とながい前に、死んだ、その子たちや孫たちやひ孫たちも皆死んで、最後のひとりも、ふたつながいときの前に、死んで、絶えた、残ってしまった、誰も、いない、はるか向こうの果てまで見渡してみても、残っているものは、もういない。いない。皆絶えてしまった。このままずっと、すべてが果てるまで、残り、変わらずに続いてゆくのだろうか、そんなことを考え出して、もう随分とながいときが過ぎていた。ながいときは、終わることがなく、コワレることも、なかった。遠くで、大きい、音がした、音は、広がり、響き、どこまでも揺さぶった。やがて、夜がなくなり、空がなくなり、ながい、無限の朝の中、すべてが、なくなった。だがそれでも変わることなく、ときは流れ、わたしはここに、居る。今でも、わたしはわきゃわきゃと、喋り、満ちることが、ある。耳を澄まし、その意味を探ろうとするのだが、それはようとして掴むことが、できない。












           了。


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