同棲。/菊池ナントカ
 

「嗚呼、違うんだ本当は。」
「何が違うというのか?」
狐はニヤりと笑う。
寝たふりなんぞ通用するものか。
畳の上、寝転んでいると狐は甘えるように背中にもたれル。


飛行機事故の記事のスクラップブックも、もう一杯だ。
窓から何か覗いている。
怖くて振り向けぬ。
狐は肝心な時に居ない。

ドアを叩く音がする。
ガチャガチャと無理矢理開けようとしている。
どぉーんどぉーんと腹にクる。
狐の名を呼ぶ。
狐の名を呼ぶ。


「お前は人間なのか?モノノケなのか?」
「どちらにしろモノノケです。人間だとしたって近頃の人間は正に百鬼夜行じゃありませんか?嗚呼醜い!醜い
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