形見/
本木はじめ
沈んでゆく亡き王女のためのパヴァ−ヌにさみしい初夏の夕ぐれ
ピアノは巨大にリビングしているけど
きみのいないみぎてもいないし
きみのいないくすりゆびもいない
どうしようもない僕はしっとりと
ピアノにほほをつけるとつめたい
黒鍵に指を置いてゆっくりと沈めるとからすたちが鳴きだす
今夜こそ
捨てよう
君の
銀歯
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