六月/蒼木りん
青い花だけの庭を作ったら
寂しいだろうか
なら、
かすみ草を添えておくことにしよう
蛇が住みつくほどに茂った庭に
猫の鳴き声
人間に
何の用だい？
それもこれも
目に映るもの
人が生きるのは
何の意味があるのだい？
ツバメがせっせと
ヒナに餌を運ぶよ
面倒だなんて
思わないんだろうね
気がつかなかったけれど
六月が来ていたんだね
流れてしまった魂
それでよかったんだね
もう何年も
ホタルの光るのを見ていないよ
蚊帳を手に入れたら
一夜だけ照らしておくれね
枯らしてしまう前に
水をあげなくてはね
あたし無しでも
生きられるようになってね
あたし
ばかだから
望みどおりに死ねそうな気がするのよ
戻る 編 削 Point(3)