落下/傘/石田 圭太
 
美しかった言葉
怪物の中に
悲しみをまさぐる怪物がいる
彼方までの距離を測ると
すべて等しく平行で
いつまでも
いつまでも
途方のないまま
そんな父と母は出会った





芯のない
鉛筆を
転がし続けている
止むことのない歓声
拍手
そしていくつかの衝撃音
戦争、
戦争のはじまりに
一握りの人間が
恋を
はじめている
蓋を閉じると
答えはもう彷徨いはじめて
か細い
たましいから順番に
吐き出されていくのだと知った





すべてがうそになる前の
灰色のカーテン


浸すのは太陽の赤い、
赤い、赤い、
あれは、
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