「ごめんなさい」と言った/sekka
 
口が過ぎたと思った頃には
既に時が過ぎていた
あなたは怒っていた

いつもとは違って
将棋のように冷静に言葉を並べて
私の非を問う

私は「ごめんなさい」と言った
相槌のように

「私が悪かった」とは言わない
あなたもずいぶん
私に悪いことをしたから

それでもあなたは
星もない夜にひとつひとつ問うて教え諭す

私は「ごめんなさい」と言った
あなたの声を打ち消すように

いっそのこと
あなたのいない未来を想像してみようかと
目をつぶってみた

私は「ごめんなさい」と言った
とにかく今日はもう眠りたい

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