月と湖面の鏡/
渡 ひろこ
た
虚ろな眼(まなこ)をカッと見開き
本来の姿を映すという
この湖面の鏡に
自分を曝してみる
何が映るか…
人はどのようにして
自己と戦うのだろうか
愛情という
白紙の処方箋を握りしめる
滑稽な自分自身の亡き骸が
湖面のさざ波にゆれる
満月の中に浮かびあがった
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